よもやま話
2017年11月24日
 陰陽論(3)

 また、陰と陽は互いに相手がなければ存在しえない関係でもあり、つまり相互が互いの存在的根拠となっているので陰陽互根の法則といいます。
仮に“男性”という概念を考えてみてください。これは、“女性”という概念を想定するがゆえに成り立つ概念ですよね。つまり、患者さんがいるからこそ医者という存在が成り立つし、生徒がいるからこそ教師が存在しえるわけです。

陰陽の一方が増えれば一方が減り、一方が盛んになれば一方が衰える、このような関係を陰陽消長の法則といってます。
この法則こそが東洋医学の診断・治療に大変重要となります。たとえば辛い物や乾き物を多く摂取すれば人体は陽に傾いて身体に熱が籠り、陰(体液、血)が不足となり、その場合の治療は熱を冷まし、陰液を補う処置をします。またあるいは、邪気が盛んで正気(すなわち、生命エネルギーそのもの)がひっ迫している場合には“瀉法(しゃほう)”という処置によって邪気を刈り取り、その結果正気を救うのです。

 事物の対立する双方がある一定の条件下において相反する方向に転化する、すなわち陰が陽に、陽が陰に転化することがあるのを、陰陽転化の法則といいます。「陰極まれば陽となる。陽極まれば陰となる。」という言い方をします。たとえば、季節でいえば、「夏至になれば陽気が極まり、その結果、冬至に向かって陰気が増していく。そして冬至になれば陰気が極まり、その結果、夏至に向かって陽気が増していく。」とこのような変化のことをいってますが、おわかりいただけたでしょうか。
 陰陽消長が量の変化をいっているとすれば、この陰陽転化は質の変化の意味を持っています。
 東洋医学において、陰陽論はすべての基本になる大切な考え方になります。
極論すれば東洋医学の治療は「陰陽の調整」を以て生体を健康ならしめんとする治療法なのです。

2017年11月17日
 陰陽論(2)

 自然界も人体も陰陽の法則で調節されています。この陰陽の法則にはいくつかの種類があります。陰と陽は互いに対立するもので相手を抑制する(陰陽対立の法則)のですが、その力関係は常に変動しております。

 一日でみれば、昼間は陽の時間、夜間は陰の時間になるのですが、急に変わるものではなく、その陰と陽の力関係は刻々と変化していきます。陰の力が最も強い真夜中から、徐々に陰の力が弱くなり、相対的に陽の力が強くなって逆転していきます。そして、正午に陽の力が最も強くなり、その後は逆の動きで再び陰陽の逆転をおこすのです。こうした陰陽の変化を象徴的に描いたのが太極図なのです。

 陰陽は相対的なものなので、同じものでも見方によって陰にも陽にもなります。昼間は陽ですが、同じ昼間でも午前中は陽の中の陽に属し、午後は陽の中の陰に属します。それぞれ、「陽中の陽」、「陽中の陰」といい、同様に陰の中にも「陰中の陽」、「陰中の陰」があります。

 このように、相対的であるということは事物が無限に陰陽に分けられるものだということになります。つまり一つの太極が陰と陽という二つになり、それぞれに陰陽があることにより四つになり、さらに八つ・・・といったものです。よく易占で八卦、というのがありますよね?これまさしく陰陽論なのです。
2017年11月10日
      陰陽五行について

 まずは、東洋医学において根幹となる陰陽五行論についてふれておきます。

 陰陽論(1)

 先人たちの間で、自然界のあらゆるものごとを太極という括りの中で陰と陽という二つの性質に分ける考え方が生まれました。その陰陽のもともとの意味は素朴なもので、日光に向かっている側を陽、日光に背を向けている側を陰としたのでした。寒熱、方位の上下、内外、運動状態の動静等にこの陰陽分類を当てはめていくなかで、二つの相反する側面が互いに対立しながらまた相互に依存していること、いかなる事物も絶えず変化していることを発見しました。

 陽は火に代表され、興奮で動の性質を持ちます。陰は水に代表され、抑制で静の性質を持ちます。『素問・陰陽応象大論』には「水火は陰陽の征兆なり」「水は陰、火は陽と為す」とあり、水と火が陰陽の基本特性を反映しているとしています。水は寒く、下に向かい、静か・・・とすべて陰に属するもの。また火は熱く、上に向かい、動く・・・とすべて陽に属する性質を持っています。

 身体の部位などにおいても当てはめることができます。つまり人体という太極を踏まえた上で上部は陽で下部は陰、背部は陽で腹部は陰、体表は陽で体内は陰、といったところです。
 身体内の臓器や体の働きについても陰陽に分けれます。
五臓と六腑では相対的に五臓が陰であり、六腑は陽、外界からの刺激に対して抵抗するのが陽であり、体内において滋養する作用が陰、といったようなものです。
2017年11月03日
   東洋医学の整体観(そもそも東洋医学とは?) (4)

〜整体観(3)〜

 以上のことから東洋医学では、体のどこかの局所に異常がみられた場合に、それが体全体の状態とどう関係しているかを考え、さらにはその体の状態が自然界などの環境の影響をどう受けているか、そこまで考えるのです。

 「部分らしき」舌診(患者さんの舌の状態を診て状況を把握する手法)を例にとると、舌は通常は淡紅色(薄い赤色)ですが、通常よりも紅くなっている場合、単にその局所である舌が赤いとみるよりは、むしろ全身が熱傾向であることを反映しているとみる方が主となるわけです。

 また、舌の中に内臓の状態が反映していて、例えば舌の先端は心肺を、舌辺(舌の両サイド)は肝の状態をうかがえるわけです。同様に、お腹も全身の縮図という見方があります。

 このように、東洋医学は常に全体を意識した医学であり、常に部分を通じて全体を意識する診察・診断体系をもっている医学なのです。
2017年10月27日
   東洋医学の整体観(そもそも東洋医学とは?) (3)

〜整体観(2)〜

2)人間と自然界の間の整体観

 人間と自然界をまとめてひとつの整体とする見方です。人間も自然の一部とみなし、更に自然界を大宇宙とし、人体を小宇宙とする世界観です。自然と人体は呼応しあっているという考え方で天人相応(天人合一)といいます。あなた、という存在は大宇宙の縮図である、という考え方なのです。

 人体の五臓の気と自然界の春・夏・長夏・秋・冬を対応させたり、気候や地理の変化が人体に影響を及ぼすというとらえ方もこれに含まれます。

 これは、自然界にみられる四季と同じ変化が私たちの身体の中でも起きているという考え方につながります。

 春は陽気が昇りはじめて、草木や虫たちも上へ、外へと向かう季節です。夏にはその陽気がさらに盛んになり、草木も繁り、虫たちも活発になります。長夏(中国では一年中で最も雨が多く湿度が高い季節。だいたい7月中旬から8月中旬のことで、日本では土用といいます)は陽から陰への変化を示します。秋は陽気がおさまり陰気が台頭し、草木は実を結んで収穫の季節です。冬は陽気が衰えて陰気が強くなり、すべてを静かに蓄える季節です。

 自然界のすべての生物は、この四季での気候変化の影響を受けており、特に植物はこの影響を著しく受けます。春は植物の種が芽生え始めます(生)。夏は植物の生長が活発になります(長)。長夏は温潤で花は実へと変化します(化)。秋は乾燥して涼しくなり、実は成熟して取り入れをします(収)。冬は葉が枯れて落ち(蔵)、翌年の再生を待ちます。

 人間も植物までではないですが、似たような変化をします。
 このような季節の特性に合わせた生活をしていれば、自然界の働きと人体の働きが一致して、健康でいられて病気になりにくいのです。

 春には春に適した身体、夏には夏に適した身体といった具合になっていればよいわけです。たとえば、春先に毎年花粉症をはじめとするアレルギー疾患に悩まされる人は、春に適した身体になっていない、ともいえるのです。こういった四季に応じた過ごし方については、今後、養生法のところでも述べていきますので参考にしていただき、是非四季折々のファッションを楽しむように四季における生活を心がけてみてください。
2017年10月20日
   東洋医学の整体観(そもそも東洋医学とは?) (2)

〜整体観(1)〜

 伝統的中国医学は数多くの臨床経験を積み重ね、そこから独自の医学体系を作り上げてきました。その中の大きな特徴としてまず整体観が挙げられます。

 人体は、有機的に統一された総合体(さまざまな要素が関係し合って構成された統一体)であると同時に、周囲の自然環境とも関わって生命活動を行う存在でもあるととらえています。中医学はこの人体の内部と自然界を総合した大きな全体観(整体観)を基本にしています。

1) 人体内部の整体観

 人体は五臓とよばれる、心・肺・肝・脾・腎という臓とそれに附随する六腑が機能するなかで気・血・津液・精・神、といった物質(あえて「物質」という表現をここではします)が経絡および三焦という経路を行き来することによって一つの統一体として機能しています。
それぞれの用語については、後ほど説明いたします。ここでは、大体そういう見方をするんだなととらえておいてください。

 気と血、臓と臓、臓と腑、臓腑と経絡などそれぞれがつながりを持って関係しており、目や舌、腹など部分が全体を反映しているという見方をしますし、局所と局所、表面と内部、腹部と背部などといったすべてに関連性があるとみています。良い悪いということではなく、西洋医学のように各科(内科、整形外科、眼科、耳鼻咽喉科など)に分けて診察・診断するのと大いに異なるところであるといえるでしょう。
2017年10月13日
   東洋医学の整体観(そもそも東洋医学とは?) (1)

〜東洋医学とは〜

 では、いよいよ東洋医学の話をしましょう。

 東洋医学とはアジア周辺で始まった医学で、交易で広まり中国にも伝わりました。中国では独自の発展をとげ現在に至っております。

 日本にも伝わりましたが、その後独自に日本漢方として発展しました。鍼灸も日本独自に発展しました。

 ここでは東アジアを中心とした医学、すなわち伝統的中国医学〜日本の伝統医学を指すものとします。

 治療は主に湯液(いわゆる漢方薬)と鍼灸があります。湯液について言えば、現代中医学と日本漢方では、いろいろと相違点もありますが、基本的なところでは共通しております。

 私は中国医学(中医学理論)を基礎として臨床実践しておりますが、より日本人の体に合った処方を出す上で、日本漢方の考え方も参考にしております。
2017年10月06日
      西洋医学からみた肩こり(5)

歯科的疾患と肩こり

 噛み癖で、よく噛む方が緊張しやすく、同側の肩こりが多いと考えやすい。

 虫歯がある側の肩がこりやすい。これは東洋医学的には経絡的(手足の陽明経)、あるいは空間的に理解することで対処できます。

 以上に挙げましたように、さまざまな疾患で肩こりが起こりうることがわかったと思います。特に肩こりがあまりにもきつい場合や何をしても軽くならない場合などで、このような西洋医学的な疾患が隠されていることもありますので注意が必要です。
2017年09月29日
      西洋医学からみた肩こり(4)

〜消化器系疾患と肩こり〜

 消化器疾患時の肩こりは片側性が多く、胆嚢炎、胆石症、慢性膵炎、慢性胃炎、肝硬変、などに伴うことがあります。

 慢性胃炎や胃下垂では、腰背部痛とともに肩こりが多いです。

 胃十二指腸潰瘍でも腰背部痛を伴い、こり感として訴えることもあります。

 常習性便秘にも肩こりはよく伴います。

 たかが「肩こり」と思われるかもしれませんが、慢性的な肩こりが内蔵の疾患を現象している可能性もあるわけです。東洋医学的にはある意味当然のことなのですが。 (次回に続く)
2017年09月22日
      西洋医学からみた肩こり(3)

〜循環器系疾患と肩こり〜

 狭心症では、胸骨下の絞扼感(締め付けられる感じ)や鈍痛を生じ、頚から肩または上肢に放散します。最も多くみられるのは、左上胸部を超えて左肩に達し、さらに左上腕の尺側に沿って放散します。両肩や背部に及ぶものもあります。これらの痛みの程度が軽ければ肩こりとして訴えます。

 心筋梗塞の場合、急性期には胸痛の程度が強く、急性期を過ぎた後に背痛、肩こりを訴えます。

 他に、高血圧、低血圧、貧血でも肩痛、肩こりをおこすことがあります。 (次回に続く)
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