よもやま話
2017年08月18日
      なぜ東洋医学なのか (4)

 千年、二千年以上も前から、数えきれないほど多くの先人たちによって検証を繰り返し、淘汰され洗練されてきた東洋医学の悠久の歴史、これこそがエビデンスだと私も含め多くの東洋医学関係者は確信しています。

 今後、東西両医学がさらに発展することを切に願います。西洋医学と東洋医学、いずれもれっきとした医学です。拠りどころとなる理論的基礎が全く異なる医学同士ですが、患者さんが健康を享受するために、両関係者が対等な関係でもっと学術交流を深めていければいいと思います。

 西洋医学のいいところ、東洋医学のいいところ、それぞれを最大限に活かして、少しでも多くの方が今の病の苦しみから解放されるようになれば、それに越したことはないでしょう。
2017年08月11日
      なぜ東洋医学なのか (3)

 西洋医学ではEBM ( evidence-based medicine ) を重視していますが、心によって影響を受ける身体を唯物論的に分析しても、残念ながら限界があるでしょう。つまり、西洋医学においてEBMは重要でしょうが、それを金科玉条のごとく絶対視するのはいかがなものかと思います。

 西洋医学の領域の本や論文では、5年前、10年前のものと現在のものを比べると、診断法や治療法が大きく異なっていることがよく見られます。真逆の内容になっていることすらありました。これは、それだけ西洋医学の進歩がめざましいことを物語っています。

 しかし、これは違った見方をすれば、今から5年後、10年後には現在の診断法や治療法が否定される可能性もあるということです。あくまでも、現時点において最良と考えられる診断法、治療法という位置づけだという認識を持つべきです。

*EBM ( Evidence-based Medicine ) :根拠に基づいた医学。

 東洋医学にはEBMがないから医学として認められないと批判される方もおられます。はたして、その批判は的を得ているのでしょうか。

 全てを数値化して評価する、いわば数値崇拝的な切り口であるEBMに、数値化しにくい領域を扱う東洋医学を当てはめろと言われても、どだい無理があると思います。いわば、相手の土俵で相撲を取れと言われているようなものでしょう。もちろん、東洋医学の中でも、何とか数値化できるものに関してはEBMに当てはめるのもいいでしょうが、限界があることを忘れてはいけないと思います。 (次回に続く)
2017年08月04日
      なぜ東洋医学なのか (2)

 東洋医学では、西洋医学的な病名を意識しつつも「証」と呼ばれる各人の心身の状態に合わせた治療を行うので、同じ病名でも違った治療になったり(同病異治)、また逆に違った病名でも同じ治療になったり(異病同治)します。

 病名の数に比例して薬が増えていくようなことはありません。いわば患者さんごとにオーダーメイドの薬を用意するといえば近いでしょう。

 そして中国最古の医学書である黄帝内経に「未病を治す」と書かれているように、病気に進行しつつある状態(病気の前段階)で治療することで病気を予防するということも重視しております。

 『黄帝内経』をはじめ、東洋医学の古典では「已病」というすでに病になった状態から治すのは下策であると考えており、実際の臨床においてもすでに病名がつくレベルから治療をする、というのはかかりつけ医として不本意であり、患者の皆様にとっても不利益なものと考えています。

 また、「心身一如」の観点から、心と身体は切っても切り離せない一つのものとして考えます。心と身体は互いに良い影響も悪い影響も与え合うので、心身両面を考慮した治療を重視します。その人の心の問題を解決しない限り、治りきらないこともあります。

 このように、東洋医学の方が人そのものを丸ごとみているように私には思えて、どんどんのめり込んでいったわけです。 (次回に続く)
2017年07月28日
      なぜ東洋医学なのか (1)

 西洋医学の功績は言うまでもなく大きく、人類に多大な恩恵を与えてきました。しかし一方で、検査では異常が見当たらないので治療対象にならなかったり、不定愁訴という括(くく)りで片づけられてしまう例も多いのではないでしょうか。

 例えば私たちの漢方クリニックに受診される方は、大半が西洋医学の治療では治りきらなかったものを抱えておられ、その内容は、あらゆる診療科の多岐にわたる病名が含まれております。

 西洋医学は多大なる発展をとげており、以前は治らなかった疾患が治るようになったり、外科系でも治療技術の進歩により、治癒率が向上しております。これからも更に発展していくでしょう。

 しかし、それでも治らない人たち、不定愁訴でひとくくりにまとめられてしまう人たちが多数おられるのも事実です。また特に高齢者の方では、数多くの病名があり、それに比例するように多くの薬を処方される例も多く見受けられます。 (次回に続く)
2017年07月21日
      私が整形外科医を辞めたワケ (3)

 当初は整形外科領域の症状を改善する目的で処方していた漢方ですが、内科など他科領域の症状も一緒に改善してしまう例をいくつも経験していくうちに、「これは西洋医学とは全く違う切り口だな、これぞ求めていたものだ!」と直感し、李康彦先生の李漢方専門クリニックで研修をさせていただくことになりました。

 そこでは、病院で使っていたような漢方エキス製剤の処方は少しのみで、ほとんどが各患者さんごとに合わせた漢方の煎じ薬を処方されていました。ここで改めて漢方薬の効果というものを目の当たりにし、本格的な処方構成について学ばせていただきました。

 そして最終的には、一大決意を持って、勤務していた病院を辞めさせていただき、準備期間を経た後、漢方専門医として再スタートすることにしたのです。他の医師たちから見れば、私は相当の変わり者かもしれませんね。
2017年07月14日
      私が整形外科医を辞めたワケ (2)

 一方の外来診療においては、頚部痛、肩こり、腰痛、膝関節痛などの慢性疾患・慢性症状にも多く携わってきました。それらに対しては、筋弛緩剤や鎮痛剤を処方したり、ブロック注射をしたり、牽引や温熱などの理学療法と運動療法を組み合わせたりして治療をしてきました。

 患者さんの症状が良くなっていくのを見るのは非常に嬉しいものでしたが、なかにはどんな方法を用いても症状が改善しない例もありました。一時的に症状が軽くなってもまた戻ってしまう例も決して少なくはなかったように思います。その度に、もっと何とかならないものかと歯がゆい思いをずっとしてきました。

 そんな中、最終手段として漢方でも試してみようと思い、病院内の薬局に在庫のある限られた種類の漢方エキス剤から選んで処方していくようになりました。一例を挙げれば、慢性的に膝関節が腫れて熱を持っている人に対して、内服薬や注射など何をしても症状が軽減しなかったのですが、余分な水と熱をとる作用のある漢方エキス剤を処方したところ、ごく短期間で症状が消えてしまい、その効果に驚いたことがありました。

 もちろん、全ての例がこのようにうまくいくわけではありませんが、このようなことから、だんだんと漢方についての勉強を深め、処方する例も増えていきました。 (次回に続く)
2017年07月07日
      私が整形外科医を辞めたワケ (1)

 私はスポーツ整形外科の研究医として大学病院に在籍してましたが、その後、民間の救急指定病院に転勤となりました。そこでは外傷、なかでもスポーツ外傷や交通事故による外傷をたくさん診てきましたし、緊急も含めて手術も多くしてまいりました。大変なことも多かったのですが、非常にやりがいを感じておりました。

 しかし、手術をすることによる生体へのダメージも考慮しなければならず、生体組織への侵襲を極力最小限にしたいとの思いが年々強くなり、最小侵襲手術を主体に行うように変わっていきました。肩関節や膝関節などは、可能な限り関節鏡という内視鏡カメラによる関節鏡視下手術を行っておりました。

 メスによる皮膚切開でできた手術創痕も小さくて済むので、創痕部の違和感が残りにくく、美容的にも満足していただいておりました。余談ですが、外科の領域でも以前は開腹手術をしていたものが、腹腔鏡視下手術で行えるようになったものもありますので、患者さんにとっては喜ばしいことです。

 ただ最小侵襲手術に力を入れていた当時から、「できれば切らずに治したいな。」とか思ったりもしておりました。そうやって年を経るとともに、どんどん切りたくない方向に気持ちが移行していったのです。 (次回に続く)
2017年07月06日
 東洋医学には未病(みびょう)という考えがあります。養命酒のテレビCMなどでご存知の方もおられるでしょう。病気になる前に治す、病気を予防する、悪化防止に先手を打つなど、いろいろな解釈があります。

今回は扇町漢方クリニック(OKC)が治療現場で考える未病について、カゼを例にしてお話します。

 OKCはカゼを非常に警戒します。アトピー性皮膚炎や重篤な患者さんなど、カゼにより一気に悪化する場合があるからです。

カゼは万病の元と言われますが、実生活ではあまりピンときません。しかし医療現場では軽いカゼ程度による急激な悪化を多く見るにつけ、まさしくカゼは万病の元を実感しております。

 カゼをひく。この「ひく」「病気になる」ことを罹患(りかん)といいます。罹患後しばらくして発熱、寒い、鼻水、だるい、などの症状が出ます。罹患まっただ中の状態です。

カゼは「罹患→カラダが立て直しを開始→症状が出る」という順を追います。症状が出てこそ自分で自分を治しにかかっている証拠になります。

 罹患して症状が出るまでにカゼを見抜く医者は未病を治す医者として高く評価されます。

「元気そうだけど、ナンかひっかかる」

そんな場合、脉(みゃく)や舌を診せていただき、ツボを触り根拠を得ます。微妙な接し方が必要です。この方法は医学部では積極的に教育されず、東洋医学に興味のある人だけが卒業後に修行します。微妙に未病を見抜く。 了 (相)
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