よもやま話
2018年12月14日
 肩こりを通して自分を知る 〜心身一如〜 (4)

 自然界と調和するということは、人間の心(ココロ)も自然界と調和するということです。自然界に調和した心の状態とは、『素問・上古天真論』に「恬淡虚無(てんたんきょむ)」と書かれているように、心安らかでとらわれのない心の状態と考えればいいでしょう。

 現在の仕事の内容や自分の置かれている立場に関して不満を持っている人。仕事上の人間関係で悩みや不満を抱えている人。学校や家族の中での人間関係に悩みを抱えている人。自分の過去のつらい体験を引きずってそこから離れられない人。

 まだまだ例はありますが、特にこのような人たちが多く見受けられます。その程度も、軽いものから本当に根深いものまで実にさまざまです。「そんな簡単には解決しないよ。」と思われてる人も多いものです。

 こういった時こそ、発想の転換をしてみませんか。自分が見ている世界、感じている世界を、即そのまま全て正しいものと断定するのではなく、その実感に疑問を持ってみることです。

自分が感じていることに疑問を持ち発想を変えて考えてみると、いかに自分本位に物事を見ていたかがわかります。私もこういうやり方で、過去に数えきれないほどの反省を繰り返してきております。反省だらけの人生といってもいいでしょう。

 いろいろな角度から物事を見てとらえましょう。ここで太極陰陽の話を思い出してみてください。物事を見る角度や切り口によって、陰と陽は変わります。この世のすべての事象は相対的なものであり、絶対的なものはないのです。行き詰ったときは、自分の思いや考えを疑ってみてください。

私もそうでしたが、年齢を重ねるにつれて価値観が変化すれば、以前はこだわっていたことや重要に思えたことが、今となっては別にどうでもいいことであったりします。悩みについても、同様にあてはまることが多いと思います。もちろん、どうにもならない悩みもあるでしょうが、時間が解決してくれるものもあると思って気持ちを切り替えることも必要でしょう。

 (次回に続く)
2018年12月07日
 肩こりを通して自分を知る 〜心身一如〜 (3)

 病気には意味があるはずです。東洋医学的にいえば、気の歪み、陰陽の不均衡が大きくなり、人間が本来持っている修復する力(自然治癒力)の限界を越えてしまおうとするときに、身体が悲鳴を上げてサインを発するととらえてはどうでしょうか。

 もし、このような警告サインが出なければどうなるでしょうか。そうなれば、あなたは自分の気の歪み、陰陽の不均衡が大きくなっていることに気がつかずに、さらに自然界との不調和を増幅させていくということになるでしょう。

 私たちは自然界の中で生かされています。病気は、調和を乱したことに対しての自然界からの戒めのメッセージととらえて、自分自身のことをよく知るいい機会だと考えましょう。

 私たちは自分という存在をあらしめている力を認識する必要があります。自我意識に振り回されて、自分自身を支えている「気」の働きを無視することを続けていると、病気などによって自分の存在そのものに危険信号が生じるのは当然のことといえるでしょう。

 自分自身の本質に気づかずにいるために、自分自身を苦しめている人が多く、特に働き盛りの女性にそれが目立つ傾向があると(男性も多いですが)、実際に診療現場にいてつくづく思います。

 (次回に続く)
2018年11月23日
 肩こりを通して自分を知る 〜心身一如〜 (2)

 次に、肩こりに限らず、少し広げて病気そのものの話をしたいと思います。

 さて、ここまでお読みいただいた上で、あらためてあなたに考えてみてほしいことがあります。それは、

「そもそも病気とは、いったい何なのか?」

「自分の体にあらわれている症状は、何を意味するのか?」

ということについてです。

 自然界の一部である私たち人間が自然界の法則に従った生活をしていないと、体内の「気」が歪んでくることは想像に難くないでしょう。病気とはまさに、その「気」が歪んだ状態のことをいいます。

いわば「気」という私たちを根源的に支えてくれている力が妨げられて病気が生じるともいえるでしょう。自然との不調和が病気を生むといってもいいでしょう。

 「なぜ、私だけがこんなつらい目に遭わなければいけないのか?」

いざ、病気になってしまうと、このように思ってしまうのは当然のことだと思います。その本当のつらさはご本人しかわからないところがありますからね。

しかし、その現状を恨んでいるだけでは、残念ながら何の解決にもなりません。このつらさが自分の身にふりかかっていることの意味を考えてみましょう。

 (次回に続く)
2018年11月09日
 肩こりを通して自分を知る 〜心身一如〜 (1)

 日本人は他民族に比べて「肩」への意識が強いといえます。その象徴として、日本語には「肩」のついた言葉が多く存在します。例えば、

「肩をいからす」
「肩をおとす」
「肩が軽くなる」
「肩で風を切る」
「肩の荷がおりる」
「肩を入れる」
「肩を並べる」
「肩を持つ」
「肩書き」などがあります。

 このように、権威や威力の象徴として、また責任や重いものを引き受ける部位として「肩」という言葉が使われています。

 また、「首」のついた言葉も多くあります。

「首が危ない」
「首が飛ぶ」
「首が回らない」
「首にする」
「首を突っ込む」
「首を長くする」
「首をひねる」
「首位」
「首席」
「首都」
「首相」
「首脳」
「党首」などがあり、
「首」には重要な部位という意識があるようです。

 ちなみに肩こりに相当する英語はstiff neck となり、直訳すると「首こり」になります。日本人は肩への意識が強いので、首から僧帽筋にかけてのこりや痛みも「肩こり」と表現しているのであり、実際にこの部位のこりを訴える場合が多いのです。

 また、日本人特有の気質も関与していると思います。思いやりの気持ちが強く、周囲の人への気遣いができる人が多くて、大変素晴らしいことです。しかし、気遣いが多すぎたり、言いたいことも言えずに我慢していたりといったことが続くと、知らぬ間に精神的ストレスを溜め込んでしまうことにもなります。実際に診療現場でもそういう人が多くみられ、肩こりも多く伴っています。ストレスを溜め込まないための工夫が必要でしょう。

 (次回に続く)
2018年10月05日
 睡眠について(2)

 肝に貯蔵されている血が目に入ってものをよく視させ、また筋を養っています。ですから、例えば

真夜中にパソコンを長時間見たりして目をよく使うことを続けていると、本来貯蔵されるべき血が目に送られて消耗されてしまうので、

肝血が不足していき、

目の疲れ以外にも髪の毛のつやがなくなったり抜けやすくなったり、

爪の光沢がなくなって割れやすくなったり、

月経不順になったりします。

 このように、陰の不足が生じて、陰陽の不均衡が生じます。血は気に対して“陰”であり、睡眠によって養われます。こういった理由からも、特に女性の方は無理をしないようにしてほしいものです。

 中国元代の医家「朱丹渓(しゅたんけい)」は

「陽は余り有り、陰は不足す」

の観点から陰を養い陽を抑制することが養生の主要原則であるとしました。現代においても、このような考え方が必要であるといえそうです。

 このように、生体の陰陽調和のためにも睡眠が重要であることがおわかりいただけたと思います。
2018年09月21日
 睡眠について(1)

 睡眠については、その時間帯に意味があります。陰陽の観点からみれば、真夜中の0時が陰が最も強い(陰の極みの)時刻であります。

 気血津液は、陽の盛んな時間帯である日中に全身を活発に巡り、陰の盛んな時間帯である夜になるとその巡りは最小限となり、内臓に帰っていくという見方をします。血は肝に帰ってそこで貯蔵されます。このように、夜の時間帯は本来、内臓が休息して復旧にあたる時間帯です。体内の陰を養う時間帯です。

 したがって、陰の極みである真夜中前後の時間帯(午後10時頃〜翌午前2時頃)が一番それにふさわしい時間帯であるのです。ですから、例えば午後11時から翌午前5時までの6時間の睡眠と、午前1時から午前7時までの6時間の睡眠とを比べると、同じ6時間睡眠ではありますが、内臓の休息および回復のためには前者の方が有利なわけです。

 昔から言われている「早寝早起きは三文の徳(得)」は、この点からも有意義なことばと言えるでしょう。

 (次回に続く)
2018年09月07日
 飲食について(2)

 『素問』『霊枢』において飲食についての記載が多くみられます。第2章で五行色体表を紹介しましたが、そのうちの五味についての記載があります。

 まず五味の作用ですが、

・辛味のものには発散作用

・酸味のものには収斂する(=ひきしめる)作用

・甘味のものには緩和(=緊張をゆるめる)作用

・苦味のものには固めて乾燥させる作用

・鹹味(かんみ)(=しおからい)のものにはものを柔軟にする作用があります。

 酸味の食物は肝を補い、苦味の食物は心を補い、甘味の食物は脾を補い、辛味の食物は肺を補い、鹹味の食物は腎を補います。

 このように五味の考え方をうまく利用すれば病の改善にも役立つのですが、摂り過ぎは禁物。逆効果になったりするので注意が必要です。

 他にも飲食に関する東洋医学の考え方は多々ありますが、それは他書に譲りたいと思います。

 食べ物にも「気」があるということを忘れずにいたいものです。

2018年08月24日
 飲食について(1)

 「天人合一」思想でもあるように自然界が人間に影響を与えますが、その自然界から得られる食べ物も同様に私たち人間に対して、さまざまな作用を及ぼします。

例えば、辛いものを食べれば汗が出ますし、下痢のときに梅干しを食べるとおさまったりしますね。

刺身に大葉や山葵(わさび)がつくのも、食中毒や蕁麻疹の予防のための薬のようなものとしての意味もあるわけです。

ちなみにこのような考え方を発展させたものとして漢方薬があるのです。

 また、自然にとれる各季節の食べ物は、その季節の体に摂取するのがもっともいいといえます。

例えば、スイカやキュウリなど夏に収穫される果物や野菜には体を冷やすものが多いのです。

これは暑い夏だからこそよいのであって、冬にこういうものをとり過ぎると体を冷やしてしまいます。

 旬(しゅん)のものは美味しいですよね。その季節に合ったいい気が充満して、その季節の身体だからうまく適合するのだと考えられます。

 住んでいるその土地で育った作物を食べるのが一番よいとされる「身土不二」の考え方もあります。拡大解釈すれば、日本に住んでいる人は、外国で生産された食物よりも日本で生産された食物を摂取する方が体によいという考え方ともいえるでしょう。

 (次回に続く)
2018年08月10日
 呼吸、姿勢、運動について(7)

 太極拳の「推手(すいしゅ)」も、呼吸、姿勢、動作のすべての重要な要素が含まれた大変素晴らしい運動です。

 他には、高岡英夫氏の「ゆる体操」も心身のリラックスのために有効でしょう。

 相撲の「四股踏み」も非常にいい運動だと思いますが、女性は敬遠しそうですね。

 先ほども述べましたが、圧倒的に上実下虚の人が多く、弁証でいえば「肝実腎虚」のタイプが多くみられます。

 腎は下半身との関わりが大きいですから、下半身の運動を行うことで腎の活性化につながり、気の下降する力をつけることになるのです。

全身まんべんなく運動すればいいのですが、どちらかといえば下半身の運動に比重をかけていただければよいでしょう。

 ゆったりとした運動のみで十分ですので、ご自身に合ったものをみつけて実行してみてください。

2018年08月03日
 呼吸、姿勢、運動について(6)

 以上、呼吸と姿勢について述べてきましたが、これらのことも踏まえて身体にとって良い運動について、触れておきます。いずれも気の流れがよくなるなど多くの効能があります。他にも良いものがたくさんあるのですが、詳細については別の機会に紹介できればと思います。

 まずは、「甩手(スワイショウ)」

 肩幅くらいに両足をひろげて立ち、立身中正の状態で、両腕は完全に脱力してだらりとしておきます。そして、コマが回転するように腰をゆっくりと左右交互に繰り返し回転させます。そうすると、回転するたびに両腕が振られて胴体に巻きつくような感じになれば、両腕が脱力できていることになります。

 イメージとしては、でんでん太鼓がピッタリでしょう。回転を少し大きくすれば、遠心力で両腕が引っ張られていくように感じるはずです。そうなればしめたものです。これを5分から10分程度すればよいでしょう。

 そして、「馬歩(まほ)」

 簡単にいえば、両足を開いて中腰になる格好で、馬に乗っているような姿勢、あるいは見えない空気椅子に座っているようなイメージです。

 肩幅の1.5倍から2倍くらいに両足をひろげて立ち、立身中正の状態で、股関節と膝関節を軽く曲げて骨盤を下ろしていきます。上半身が前傾しないように気をつけます。そして、両腕は大きな丸太棒を抱えているようにして、両手が胸の高さにくるようにします。

 *馬歩の説明は、言葉や画像をいくら並べてもどうしても正しく伝えきれないところがありますし、間違った解釈をされたりしますのでこれくらいにしておきます。直接指導してもらえる人を探してみてください。

 (次回に続く)
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