よもやま話
2017年10月20日
   東洋医学の整体観(そもそも東洋医学とは?) (2)

〜整体観(1)〜

 伝統的中国医学は数多くの臨床経験を積み重ね、そこから独自の医学体系を作り上げてきました。その中の大きな特徴としてまず整体観が挙げられます。

 人体は、有機的に統一された総合体(さまざまな要素が関係し合って構成された統一体)であると同時に、周囲の自然環境とも関わって生命活動を行う存在でもあるととらえています。中医学はこの人体の内部と自然界を総合した大きな全体観(整体観)を基本にしています。

1) 人体内部の整体観

 人体は五臓とよばれる、心・肺・肝・脾・腎という臓とそれに附随する六腑が機能するなかで気・血・津液・精・神、といった物質(あえて「物質」という表現をここではします)が経絡および三焦という経路を行き来することによって一つの統一体として機能しています。
それぞれの用語については、後ほど説明いたします。ここでは、大体そういう見方をするんだなととらえておいてください。

 気と血、臓と臓、臓と腑、臓腑と経絡などそれぞれがつながりを持って関係しており、目や舌、腹など部分が全体を反映しているという見方をしますし、局所と局所、表面と内部、腹部と背部などといったすべてに関連性があるとみています。良い悪いということではなく、西洋医学のように各科(内科、整形外科、眼科、耳鼻咽喉科など)に分けて診察・診断するのと大いに異なるところであるといえるでしょう。
2017年10月13日
   東洋医学の整体観(そもそも東洋医学とは?) (1)

〜東洋医学とは〜

 では、いよいよ東洋医学の話をしましょう。

 東洋医学とはアジア周辺で始まった医学で、交易で広まり中国にも伝わりました。中国では独自の発展をとげ現在に至っております。

 日本にも伝わりましたが、その後独自に日本漢方として発展しました。鍼灸も日本独自に発展しました。

 ここでは東アジアを中心とした医学、すなわち伝統的中国医学〜日本の伝統医学を指すものとします。

 治療は主に湯液(いわゆる漢方薬)と鍼灸があります。湯液について言えば、現代中医学と日本漢方では、いろいろと相違点もありますが、基本的なところでは共通しております。

 私は中国医学(中医学理論)を基礎として臨床実践しておりますが、より日本人の体に合った処方を出す上で、日本漢方の考え方も参考にしております。
2017年10月06日
      西洋医学からみた肩こり(5)

歯科的疾患と肩こり

 噛み癖で、よく噛む方が緊張しやすく、同側の肩こりが多いと考えやすい。

 虫歯がある側の肩がこりやすい。これは東洋医学的には経絡的(手足の陽明経)、あるいは空間的に理解することで対処できます。

 以上に挙げましたように、さまざまな疾患で肩こりが起こりうることがわかったと思います。特に肩こりがあまりにもきつい場合や何をしても軽くならない場合などで、このような西洋医学的な疾患が隠されていることもありますので注意が必要です。
2017年09月29日
      西洋医学からみた肩こり(4)

〜消化器系疾患と肩こり〜

 消化器疾患時の肩こりは片側性が多く、胆嚢炎、胆石症、慢性膵炎、慢性胃炎、肝硬変、などに伴うことがあります。

 慢性胃炎や胃下垂では、腰背部痛とともに肩こりが多いです。

 胃十二指腸潰瘍でも腰背部痛を伴い、こり感として訴えることもあります。

 常習性便秘にも肩こりはよく伴います。

 たかが「肩こり」と思われるかもしれませんが、慢性的な肩こりが内蔵の疾患を現象している可能性もあるわけです。東洋医学的にはある意味当然のことなのですが。 (次回に続く)
2017年09月22日
      西洋医学からみた肩こり(3)

〜循環器系疾患と肩こり〜

 狭心症では、胸骨下の絞扼感(締め付けられる感じ)や鈍痛を生じ、頚から肩または上肢に放散します。最も多くみられるのは、左上胸部を超えて左肩に達し、さらに左上腕の尺側に沿って放散します。両肩や背部に及ぶものもあります。これらの痛みの程度が軽ければ肩こりとして訴えます。

 心筋梗塞の場合、急性期には胸痛の程度が強く、急性期を過ぎた後に背痛、肩こりを訴えます。

 他に、高血圧、低血圧、貧血でも肩痛、肩こりをおこすことがあります。 (次回に続く)
2017年09月15日
      西洋医学からみた肩こり(2)

〜肩こりに関するプロジェクト研究(2)〜

 最後に同プロジェクト研究のなかの「肩こりの原因」という項目に書かれている内容を抜粋して紹介します。

『肩こりは原疾患が不明な原発性(一次性)と原疾患の明らかな症候性(二次性)肩こりに分けられる。原発性肩こりの要因として過労、体型、不良姿勢および精神的緊張が挙げられている。原発性肩こりについては症候性肩こりが否定された場合に考える。肩こりの原因となる疾患としては整形外科疾患、内科・外科疾患、耳鼻科疾患、眼科疾患、精神科疾患、歯科疾患など多くの診療科にまたがっている。整形外科的疾患としては頚椎疾患や肩関節疾患などが挙げられている。』

『整形外科以外の診療科における肩こりとして耳鼻科領域ではメニエール病で64%,副鼻腔炎は14.3%と報告され、歯科領域の「肩こり」についての報告は、側頭下顎部障害が多く、肩こりを主訴としたのは5%以下であるが、随伴症状として「肩こり」は、50-70%程度とされている。』

『産業衛生上の肩こりとしては、長時間の座業、繰り返す動作が多い、手で持ち上げる作業、力仕事が多く、仕事上の頚椎前屈姿勢、長時間のコンピュータ使用、心理的因子として仕事の要求量が多いなどが挙げられている。』

 いかがですか。西洋医学の見解がだいぶ見えてきたのではないでしょうか。 (次回に続く)
2017年09月08日
      西洋医学からみた肩こり(1)

〜肩こりに関するプロジェクト研究(1)〜

 「肩こり」をまずは、西洋医学の観点からみてみます。
代表的な肩こりの原因となる疾患を挙げてみます。
日本整形外科学会の学術プロジェクト研究報告のなかに、「肩こりに関するプロジェクト研究(平成16-18年)」というのがあります。

 同プロジェクト研究のなかの「肩こりの病態」という項目に書かれている内容を抜粋して紹介します。

『明らかな原因疾患を認めない「いわゆる肩こり」が起きるメカニズムとして頚椎から肩甲骨にかけての解剖学的特徴の関与が考えられるとしています。』

『・・・。以上より、肩こりは、種々の要因に基づく筋の持続的収縮により筋線維内の血管が圧迫されて、血液量の低下を引き起こした結果生じる状態であると考察できる。』

このようなことが書かれています。 (次回に続く)
2017年09月01日
      肩こりの歴史

 肩こりの医学的な話をする前に、参考までに肩こりに関する歴史を紹介しておきましょう。

 『歴史の中の病と医学』という書籍の中にある栗山茂久氏の「肩こり考」によると、江戸時代の医書に「肩の凝り」「肩が懲りて」などの表現が見えていたようで、当時から肩こりは痃癖(けんぺき)(「けんべき」、「けんべけ」ともいった)と言われていたようです。

 中国では脇腹の病をさす医者の専門用語であった『痃癖』が、日本では一般の庶民が訴える背中の疾患に変身した理由として、日本では腹、胸、背中の触診に重きをおいていて、腹と背中にとどこおり(滞り)の所見をつかんでいたことを挙げています。

 それで当時、医療技術として腹診(按腹)と按摩という揉む医療が流行したことに関して、「身体の病を掌握・対処する手段として腹診・背診・按摩が広く浸透すればするほど、揉まれている病人の間に凝りの体感がより広く、より明確に経験されるようになったのに違いない。」と述べられています。

 ちなみに、日本の小説では、夏目漱石の『門』(1910年)に、「指で圧してみると、頸と肩の継目の少し背中へ寄った局部が、石のように凝っていた。」と書かれています。樋口一葉も『ゆく雲』(1895年)の中で、「肩がはる」という表現を使っているようです。
2017年08月25日
      医学だけで人を治せるか?

 東洋医学は全人的医療に近いと考えているのですが、果たして東洋医学だけで満足していいのか。実は本音を言えば、満足はできていません。

*全人的:全人格を総合的にとらえるさま。人間を、身体・心理・社会的立場などあらゆる角度から判断するさま。(デジタル大辞林より抜粋)

 多くはないのですが、通常の治療ではなかなか症状が改善しない場合や反応に乏しい場合に遭遇します。そういった人たちはたいてい何か根深い心の問題を抱えておられます。

 ですから、治療以外の部分、つまり患者さんの心の問題や生活という背景を含めて把握できないと私たちのできることは限られてしまうこともあるのです。そういう意味で言えば、医学だけでは本当の治癒を得られるとは限らないといえるのです。

 そのため、あらゆる学問領域を生かした学際的なアプローチが必要であると考えます。日本の医療がその体制に至るには、まだ時間がかかりそうです。
2017年08月18日
      なぜ東洋医学なのか (4)

 千年、二千年以上も前から、数えきれないほど多くの先人たちによって検証を繰り返し、淘汰され洗練されてきた東洋医学の悠久の歴史、これこそがエビデンスだと私も含め多くの東洋医学関係者は確信しています。

 今後、東西両医学がさらに発展することを切に願います。西洋医学と東洋医学、いずれもれっきとした医学です。拠りどころとなる理論的基礎が全く異なる医学同士ですが、患者さんが健康を享受するために、両関係者が対等な関係でもっと学術交流を深めていければいいと思います。

 西洋医学のいいところ、東洋医学のいいところ、それぞれを最大限に活かして、少しでも多くの方が今の病の苦しみから解放されるようになれば、それに越したことはないでしょう。
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