よもやま話
2018年01月12日
      気・血・津液と臓腑経絡

 気血津液(3)

 血(けつ)は、脈中を流れて栄養・滋潤作用を持つ赤色の液体のことです。必ずしも同じではありませんが、みなさんがイメージする血液に近いものと考えていただければよいでしょう。毛髪や爪、身体の柔軟性に“血”の健康状態があらわれます。

 体内の血が不足した状態を血虚(けっきょ)といい、毛髪のつやがなくなったり、抜け毛が多くなったり、爪が割れやすくなったり、目がかすんだりします。月経量も減少したり、月経不順になったりします。また、こむら返りなどもおこりやすくなります。

 また、血の流れが滞(とどこお)りやすくなった状態を血瘀(けつお)といい、月経痛などの痛みを生じやすくなります。

 なお、気滞になると血の循環が障害され、逆に血の循環が障害されると機能停滞をきたすので、よく気滞血瘀という両者が合併した状態が発生します。

 津液(しんえき)は、血液以外の体内の水分全般のことをいいます。皮膚・毛髪などを潤し、眼・鼻・口・舌なども潤します。さらに臓腑も潤して養うのです。津液が不足すると、上記の部位の乾燥の症状がみられます。

 津液の流れが悪くなったり汗や尿などとして排泄されるところで障害が発生すると、津液が停滞して異常な水液となり、それ自体が新たな病邪に変わってしまいます。その程度が軽いものを水湿といい、程度が進んだものを痰飲や水腫といいますが、はっきりとは区別しがたいところもあります。

 生命活動を維持する基礎物質として、他には精(せい)というのがあり、生命エネルギーの基本となる物質です。
 精には「先天の精」と「後天の精」があります。
2018年01月05日
      気・血・津液と臓腑経絡

 気血津液(2)

 (狭義の)気が不足した状態を気虚(ききょ)といい、いわばパワー不足の状態であり、疲れやすかったり、やる気が出なかったりといった症状が現れます。

 (狭義の)気の流れが滞(とどこお)りやすくなった状態を気滞(きたい)といい、精神的ストレスなどで生じやすく、胸やお腹が脹(は)って苦しい感じや脹った痛みなどの症状が出やすいです。他の部位でも同様の症状は出ますし、肩こりも気滞が関与していることが多いです。

 (狭義の)気は、体内を上昇したり下降したりして巡っているのですが、気滞という状態のなかで特に「下降すべき気が下りずに逆に上昇する」ことがあり、これを気逆(きぎゃく)と呼んでいます。

 最初に人体の広義の気、について述べましたとおり、広義の気をその機能や存在形態の違いからあえて狭義の気・血・津液に分けてお話ししております。そしてこの三者をとくに“動静”という観点から陰陽分類すると、狭義の気がもっとも陽であり、さまざまな“変化”を担当している、ということです。
2017年12月29日
      気・血・津液と臓腑経絡

 気血津液(1)

 “気”という言葉には様々な意味が含まれます。そもそも東洋医学といいますか、古代からの中国の気に対する認識でいえば、森羅万象がすべて“気”によって成立しています。あなたも気、そのものであるし、あなたの目の前にあるパソコンも気、パソコンを載せている机も気、空気も気、すべてが“気”なのです。

・・・・が、ここでは人体に限って気を説明いたします。

 誤解を恐れずいえば、いまあなたが存在し、生命活動していることこそが気が存在し、気が機能している、ということです。気とは流動するエネルギーでありながらも、その動きが小さくなれば目に見える物質として存在しますし、それとともに、機能を発するものなのです。

おおざっぱにいえば、これが人体における“広義の気”ということになります。その人体における広義の気をなんとなく捉えるだけでは人体の状況が把握しにくいので、さらにおおざっぱに気(狭義)・血・津液に分けて理解します。

 (狭義の)気は姿かたちはありませんが、まず、気の存在そのものが“動”という性質を持ち、他の血や津液を正常に運行させます。また、気の存在そのものが温性を持ち、十分気があることによって、身体の温かさを保持します。

そして、人体における気は人体の生命活動を保持するために、体外からの侵襲に対して対抗する機能をもち(西洋医学でいう免疫機能)、さらには人体の形体の恒常性(翌朝起きて鏡をみてもやっぱりあなたの顔がそこにあるでしょう?)を保ちます。

 (西洋医学的な表現になりますが)体内においては内臓や血管や骨格がやはり正しい位置にあり、またそれらに関わる体液全般が正しいルートを流れさすことができる、ということです。
2017年12月22日
 五行論(4)

 五行の考え方は、体内のバランスをとる方法としてばかりでなく、体の臓器や機能の相互関係を理解するときにも応用されます。さらに、行と行の間の相互関係ばかりでなく、同じ行に属するもの同士の関連について示唆してくれる理論でもあります。

 たとえば、五行色体表をみていただくと、肺と皮膚と大腸はみな「金」に属しています。この属性は、皮膚疾患を治療するときに肺に作用する生薬を用いたり、便秘の薬と咳の薬が共通していたりすること(たとえば杏仁という生薬には、通便作用も鎮咳作用もあります)を説明してくれます。

 面白いと思いませんか。

 腎と膀胱と耳と骨は同じ「水」に属しており、実際に腎が弱ると骨粗鬆症になったり、頻尿になったり、耳鳴りがしたりします。繰り返しになりますが、要するに東洋医学の考え方のもとでは、内科、皮膚科、泌尿器科、呼吸器科・・などといった考え方はせずに、まるごと一つの身体として認識するがゆえに、湯液や鍼灸が全科にわたって威力を発揮するのです。

 更に、自然界と人体との関係を理解する上においても、この五行色体表は役に立ちます。

 しかし、この相生と相克の関係は、五行のそれぞれが正常な状態にあるときでなければ働きません。病的な状態では、その弱さに乗じて抑制がさらに強まって、ますますそのものを弱くさせてしまう「相乗」という関係になります。

 また、病的な状態では、通常なら抑制している相手に逆に抑制されることがあり、それでますますそのものが弱ってしまう「相侮」という関係もあります。このように「相乗」「相侮」は相克関係の異常であります。

 このように、五行は互いに絶妙なバランスをとり合っていますが、それもある程度の範囲内でうまく働くことであって、無理な行動や無茶な生活を重ねているとこのバランスが破綻してしまい、逆に病気を増悪させるしくみに変わってしまうというわけです。ですから私たちは、体の中で「相生」「相克」が働くように保ち、「相乗」「相侮」が起きないように生活をコントロールすべきなのです。


2017年12月15日
 五行論(3)

 しかし、どれか一つの勢いが盛んになれば、他のものの勢いも盛んとなり、それによりまた自身の勢いがさらに盛んになってしまって歯止めが効かなくなってしまいます。そうならないように、「相克(そうこく)」という関係でお互いを制約・抑制しています。

 ・木は“孫”にあたる土を抑制する関係にあって、木は根を土の中に張って土を締め付け、養分を吸い取って土地を痩せさせます。

 ・土は水を吸い取り、あふれようとする水をせき止めます。

 ・水は火を消し止めます。

 ・火は金属を溶かします。

 ・金属製の斧や鋸は木を傷つけて切り倒します。

以上をまとめると五行相克の順序は、木克土、土克水、水克火、火克金、金克木、となります。

 このように、五行の間の関係は相生と相克が密接に結合し、バランスをとり合っているのです。五行学説は、おもにこの理論で自然の機構の変化や自然界の生態における平衡関係そして人体の生理を説明するわけです。陰陽論がより動態的にリアルなものとして認識できる概念ともいえるでしょう。
2017年12月08日
 五行論(2)

 自然界も、人体も、この5つの性質で統一してとらえます。それをまとめたのが、五行色体表です。

 この5つの要素が「相生(そうせい)」という関係でお互いを生み出しています。つまり、

 ・木が燃えて火がおきるように「木は火を生じ」

 ・燃えた灰は土に還るように「火は土を生じ」

 ・土の中に多くの鉱物・金属があり、土を掘ることによってその金属を得ることができるように「土は金を生じ」

 ・金属の表面には水滴がつくように「金は水を生じ」

 ・水によって木は養われ水がなければ木は枯れてしまうように「水は木を生じ」るということです。

 以上をまとめると五行相生の順序は、木生火、火生土、土生金、金生水、水生木、となっています。『難経』では“母”と“子”の関係にたとえて我を生ずるものは母、我が生ずるものは子といっています。火行でいえば我を生ずるものは木、我が生ずるものは土となり、木を火の母、土を木の子と称するのです。
2017年12月01日
 五行論(1)

 五行とは木・火・土・金・水の五種の物質の運動をいいます。五行学説では、世界のすべての事物は木・火・土・金・水の五種の基本物質の運動変化から生成されるものと認識されます。

と・・・

いきなりまた別の概念が出てきて難しく感じるでしょうけれども、この五行論も実は陰陽論の延長上に存在するものなのです。つまり先には太極を踏まえての陰と陽の二つの概念であらゆる物事や人体の状況を挙げてきましたが、ここでは太極を五つの概念でとらえよう、ということなのです。ではみてゆきましょう。

 「木」は樹木がその枝葉を伸ばすように、柔軟に伸び広がる性質を持ちます。

 「火」は炎や熱にみられるように、上昇する、明るい性質を持ちます。

 「土」は多くのものが土の中で育まれるように受納、載せる、生成等の性質を持ちます。

 「金」は金属の持つ変革の特性を指し、粛殺(厳粛ですご味がある)、収斂、発声等の性質を持ちます。

 「水」は水の持つ潤沢、下に向かう特性を指し、滋潤(しっとりしている)、下に就く、寒涼、閉蔵の性質を持ちます。

ここにみられるように自然界という太極の場において、木・火というのは陽的な性質であり、金・水・土というのは陰的な性質であるということがわかりますね。
2017年11月24日
 陰陽論(3)

 また、陰と陽は互いに相手がなければ存在しえない関係でもあり、つまり相互が互いの存在的根拠となっているので陰陽互根の法則といいます。
仮に“男性”という概念を考えてみてください。これは、“女性”という概念を想定するがゆえに成り立つ概念ですよね。つまり、患者さんがいるからこそ医者という存在が成り立つし、生徒がいるからこそ教師が存在しえるわけです。

陰陽の一方が増えれば一方が減り、一方が盛んになれば一方が衰える、このような関係を陰陽消長の法則といってます。
この法則こそが東洋医学の診断・治療に大変重要となります。たとえば辛い物や乾き物を多く摂取すれば人体は陽に傾いて身体に熱が籠り、陰(体液、血)が不足となり、その場合の治療は熱を冷まし、陰液を補う処置をします。またあるいは、邪気が盛んで正気(すなわち、生命エネルギーそのもの)がひっ迫している場合には“瀉法(しゃほう)”という処置によって邪気を刈り取り、その結果正気を救うのです。

 事物の対立する双方がある一定の条件下において相反する方向に転化する、すなわち陰が陽に、陽が陰に転化することがあるのを、陰陽転化の法則といいます。「陰極まれば陽となる。陽極まれば陰となる。」という言い方をします。たとえば、季節でいえば、「夏至になれば陽気が極まり、その結果、冬至に向かって陰気が増していく。そして冬至になれば陰気が極まり、その結果、夏至に向かって陽気が増していく。」とこのような変化のことをいってますが、おわかりいただけたでしょうか。
 陰陽消長が量の変化をいっているとすれば、この陰陽転化は質の変化の意味を持っています。
 東洋医学において、陰陽論はすべての基本になる大切な考え方になります。
極論すれば東洋医学の治療は「陰陽の調整」を以て生体を健康ならしめんとする治療法なのです。

2017年11月17日
 陰陽論(2)

 自然界も人体も陰陽の法則で調節されています。この陰陽の法則にはいくつかの種類があります。陰と陽は互いに対立するもので相手を抑制する(陰陽対立の法則)のですが、その力関係は常に変動しております。

 一日でみれば、昼間は陽の時間、夜間は陰の時間になるのですが、急に変わるものではなく、その陰と陽の力関係は刻々と変化していきます。陰の力が最も強い真夜中から、徐々に陰の力が弱くなり、相対的に陽の力が強くなって逆転していきます。そして、正午に陽の力が最も強くなり、その後は逆の動きで再び陰陽の逆転をおこすのです。こうした陰陽の変化を象徴的に描いたのが太極図なのです。

 陰陽は相対的なものなので、同じものでも見方によって陰にも陽にもなります。昼間は陽ですが、同じ昼間でも午前中は陽の中の陽に属し、午後は陽の中の陰に属します。それぞれ、「陽中の陽」、「陽中の陰」といい、同様に陰の中にも「陰中の陽」、「陰中の陰」があります。

 このように、相対的であるということは事物が無限に陰陽に分けられるものだということになります。つまり一つの太極が陰と陽という二つになり、それぞれに陰陽があることにより四つになり、さらに八つ・・・といったものです。よく易占で八卦、というのがありますよね?これまさしく陰陽論なのです。
2017年11月10日
      陰陽五行について

 まずは、東洋医学において根幹となる陰陽五行論についてふれておきます。

 陰陽論(1)

 先人たちの間で、自然界のあらゆるものごとを太極という括りの中で陰と陽という二つの性質に分ける考え方が生まれました。その陰陽のもともとの意味は素朴なもので、日光に向かっている側を陽、日光に背を向けている側を陰としたのでした。寒熱、方位の上下、内外、運動状態の動静等にこの陰陽分類を当てはめていくなかで、二つの相反する側面が互いに対立しながらまた相互に依存していること、いかなる事物も絶えず変化していることを発見しました。

 陽は火に代表され、興奮で動の性質を持ちます。陰は水に代表され、抑制で静の性質を持ちます。『素問・陰陽応象大論』には「水火は陰陽の征兆なり」「水は陰、火は陽と為す」とあり、水と火が陰陽の基本特性を反映しているとしています。水は寒く、下に向かい、静か・・・とすべて陰に属するもの。また火は熱く、上に向かい、動く・・・とすべて陽に属する性質を持っています。

 身体の部位などにおいても当てはめることができます。つまり人体という太極を踏まえた上で上部は陽で下部は陰、背部は陽で腹部は陰、体表は陽で体内は陰、といったところです。
 身体内の臓器や体の働きについても陰陽に分けれます。
五臓と六腑では相対的に五臓が陰であり、六腑は陽、外界からの刺激に対して抵抗するのが陽であり、体内において滋養する作用が陰、といったようなものです。
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